アキレス腱断裂🐾①|豊島区池袋駅 徒歩5分のさかい接骨院

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2022/04/05

コラム

アキレス腱断裂🐾①


  • アキレス腱断裂の概要
 
アキレス腱断裂は年間10,000人に1人(約12,000人)に起こると言われています。統計では、男性の方が女性よりも多くみられ、また当院では左足の方が多く発症しています。好発年齢は30~40歳代で、50歳以上の年齢層にも多くみられます。若年層ではスポーツによる受傷が多く、高年齢層では日常生活での受傷が多いと言われています。
 アキレス腱は下腿の腓腹筋とヒラメ筋が形成する人体中最大の腱で、踵骨(かかとの骨)に停止(付着)します。起立・歩行に際して緊張と弛緩を繰り返し、走る際には大きな大きな張力がかかると言われています。



  • 解剖と機能

 アキレス腱は、足にあるふくらはぎの下腿三頭筋【腓腹筋(内側頭・外側頭),ヒラメ筋】を踵骨(かかとの骨)にある踵骨隆起に付着させる腱のことです。人のアキレス腱の長さは約15cmで上の方ほど太く下へ向かうにつれて細くなります。腓腹筋の上部は膝関節を超えて大腿骨の下端に付着しています。 下部はヒラメ筋と合流してふくらはぎの半ばでアキレス腱を形成し。踵骨(かかとの骨)に付着しています。
 アキレス腱は歩行、ランニング、ジャンプなど運動の際、蹴り出す時にかかとを持ち上げ、また着地の際に足先を地面に踏み込ませるなどの重要な役割をします。しかし、瞬間に大きな負荷がかかると、腱周囲の炎症やアキレス腱断裂などの外傷を起こします。アキレス腱はパラテノンを呼ばれる結合組織に覆われており、アキレス腱はこのパラテノンから血液供給が行われています。また、アキレス腱には付着部から2~5cmにおいて血液が乏しくなる部分が存在し、この部分でのアキレス腱断裂も多くみられることから、血行不良とアキレス腱断裂は関係していると考えられています。


  • 受傷機転
 アキレス腱断裂は後ろに下がってから前に出ようとするの踏み出し動作や、動作を前後に切り返す時、ジャンプの飛び出し着地などで発生します。
 この時、アキレス腱への強い伸張tぽ下腿三頭筋の収縮が同時に起こっています。特に、膝関節伸展位での足関節背屈位のストレス状態の時、アキレス腱部に「バチンッ」という音がしたり後ろから蹴られたような衝撃を感じ自覚することが多いです。


・症状及び診断
 すべての診断の鍵となりうる問診が重要です。急に走ろうとした時や踏ん張ろうとした時、跳ね上がろうとした時に断裂し、痛みや断裂感を自覚することが少なくありません。受傷時に蹴られた、何かがぶつかったと表現される事が多く足を接して踏み返しが出来ないという特徴的な歩容と受傷機転で、アキレス腱断裂の存在が推測出来ます。受傷時の特徴的な表現「アキレス腱を蹴られた」「ボールがぶつかった」「pop音(ブチンッ・バチンッ)が聞こえた」などがあっただけでアキレス腱断裂と診断可能なほど特徴的なエピソードと言えます。
 多くは受傷部位の痛みは感じず歩けますが、中には痛みを感じ歩けない方もいます。歩ける方でも、つま先立ちが出来ない、力が入らないという症状になります。
 表面から見るとアキレス腱部の腫脹と、断裂部の陥凹、陥凹部のやや上部の硬結、同部の圧痛がみられます。うつ伏せに寝たまま膝を直角に曲げた状態でふくらはぎをつまむと健常であれば足首が底屈しますが断裂があると底屈しません(Simmondsテスト・Thompsonテスト)。
 SimmondsテストとThompsonテストはともに、下腿三頭筋の腹部をつまむと健側の足関節は底屈するのに対し患側では底屈が認められないというアキレス腱部の特異的な診察法として一般的に用いられています。しかし、正確には診察時の受傷者の姿勢が異なります。Simmondsテストは診察台に膝伸展位で腹臥位(うつ伏せ)にした状態、Thompsonテストは患者を跪かせた(ひざまずかせた)状態での診察法です。
 画像検査として、単純X線写真がアキレスけん断裂の抽出としての診断的価値は低いですが、骨折や骨棘障害などとの鑑別に重要となります。しかし、問診と理学的所見のみで安易に診断を決めつけると骨折を見逃したり、歩行可能ということでアキレス腱断裂を見逃す危険性があります。的確な問診や理学的所見でほとんどのアキレス腱断裂の診断は可能ですが、確定できない場合には画像所見と併せて総合的な診断が必要です。
 アキレス腱断裂の診断において超音波検査は非侵襲的かつ簡易的な検査で、完全断裂の診断においてその診断率は高く、また部分断裂やアキレス腱炎との診断や保存療法の経過観察において有用です。

・治療方法
 治療法は保存療法、手術療法のいずれにもかかわらず臨床成績は良好で、早期運動復帰と筋力回復を目指した治療が行われています。このうち前者の保存療法は長期の固定や免荷(体重を掛けない状態)を必要とし筋力や関節の可動域の回復が悪くなります。このため、ほとんどの病院でスポーツ選手のアキレス腱断裂の治療には出来るだけ早いスポーツ復帰や二次的障害の少ない手術療法を第一に選択しているようです。アキレス腱断裂を放置すると断裂した部分が短縮し組織が瘢痕化します。切れたアキレス腱は離れ離れになる為そのまま放置しておいても治癒されることはありません。下腿三頭筋が機能しくなる為筋委縮がみられるようになります。そのためスポーツ時に走るだけでなく日常の歩行にも支障を来すようになります。長期間放置することにより可動域制限を生じる可能性があります。また怪我をしてからの期間が長いほど断裂した部分が離れたり、断裂部が変性する為手術の時に支障を来します。受傷から早い段階で治療を開始することが重要です。
 手術療法には統一された方法は無いのですが、縫合法に工夫がなされ、後療法に関しても装具の併用で安全性も向上し、術後の機能もほぼ正常に改善されています。活動性の高い症例には有用でありますが、いずれにしても手術合併症の予防には細心の注意が必要です。
 術後は装具を用いて早期(2~3週間で歩行することが多い)よりリハビリが行われます。その結果、筋力低下、可動域制限は最小限になり、早い時期に歩行やジョギングが行われるようになっています。保存療法は神経損傷や感染などの手術合併症はなく、再断裂や筋力低下などの重大な合併症を予防できれば有用な治療法と言えます。5日~7日以内で治療を開始する必要があります。一般的な保存療法は2週間足関節最大底屈位でのギプス固定と免荷、その後3週目ギプス固定のまま荷重量を上げていき、約2ヶ月かtらは装具に切り替えての全荷重歩行を行います。このように2ヶ月間はギプス固定をされる為日常生活で不便を強いられます。
 保存的装具療法を行うには、従来の治療期間を中心とした外固定期間の設定では困難であり、治療経過中の局所所見や、画像所見などの把握が重要となります。このように保存療法による治療は長期固定による筋力低下や再断裂発生の高さ(手術療法の約2倍)、スポーツ活動時期の遅延などがデメリットになります。手術の場合は早期のリハビリテーションが可能になりスポーツ復帰も保存療法に比べ早く、半年で復帰が可能になるケースもあります。再断裂率は手術1.7%~2.8% 保存10.7%~20.8% と、手術療法の方が再断裂の危険が少なく、早期復帰が可能だとする意見が多い為、スポーツ選手は多くの場合手術療法を選択する事が多いと言われています。
 当院で行っている歩行療法の詳細はホームページ上の『アキレス腱断裂』の詳細をご覧ください。また後日改めて、歩行療法の詳細について記事を掲載する予定です。


・復帰までのポイント
 再断裂を防ぎつつも、筋力低下、可動域制限等問題を起こさないようにする事が重要です。保存療法で一番危惧される事は再断裂であり、発生率は約10%とされギプスまたは装具除去後1ヶ月以内(受傷後2~3ヶ月)が一番危ないとされています。また4ヶ月を経過しないと再断裂の危惧は少なくならない為、治療は長期間に及びます。復帰については良く相談し適切に行う必要があります。

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